赤福は伊勢神宮のある三重県の伊勢の銘菓です。時間が経ってもなかなか硬くならない餅の上に、ひとつひとつ手でこしあんが盛られた餅菓子です。
この赤福、美味しいから好き! なのは勿論ですが、それだけでない魅力が他にもあるのです。
例えば、店に並んでいる商品は全て製造当日の商品。前日の日付の商品は並べません。作った日のものしか売らないのは、ともすれば節操なく販路を広げ味やサービスを落としていく店や企業が多い昨今、範囲を限定し常にいい品質のものをと云うポリシーからで、その姿勢に好感が持てます。
また、赤福には「伊勢だより」と名付けられた見た目も美しい菓子のしおりが添えられています。版画家徳力富吉郎が描く美しい伊勢界隈の風景に、社長の柔らかな語り口の歳時記が何ともセンスよくマッチしたものです。驚くべき事は、この「伊勢だより」毎日−−つまり製造日であり販売日−−の日付が入っているのです。そう、毎日図柄と話題が変わっていくのです。365種類以上(HPによると500種類以上)が用意され、毎年同じ日付であれば、原則として同じ図柄のものが添えられています。他にこんな菓子のしおりを見たことがありません。
何時しかこの「伊勢だより」を集めるようになりました。これが「赤福しゅみ」の出発点でした。
自分で東海・関西方面へ出掛けた折に赤福を求め、またその方面からお越しのゲストからの赤福土産から少しずつコレクションしてきました。
最近は関西のデパートで当日のしおりが無料で配られたりするようになり、買わなくても手に入れれるようになりましたが、これには手を出さず、‘食べた時’だけそのしおりをコレクションするようにしています。未だ未だ1割そこそこのコレクション数ですが、ひとつひとつを眺め読むと、伊勢の地のことがらがしっとりと伝わってきます。
皆さんも弊庵にお越しの際は、広間の本棚に差してあります是非「赤福しゅみ」ファイルを一度繙いてみては如何でしょうか? 或いは「赤福しゅみ」へと進んだことをお解り頂けるかも知れません。そして、未だ赤福を召し上がったことがない方は、是非一度その甘い魅力を口に広げて見て下さい。
2006/01/25
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